事例紹介特別編 vol.6 次世代のモノづくりを後押ししてくれた「共同開発」という選択肢 コクヨ株式会社 ステーショナリー事業本部 商品本部 切る・貼る・綴じるVU開発1グループ 小林 彰吾

めざしたのは「オープンイノベーション」の実現

―まず、マッチングサービスに興味を持たれたきっかけを教えてください。

私はコクヨで企画開発を担当しており、モノづくりがよりスムーズになる方法を日々考えていました。その中でいわゆる「オープンイノベーション」に興味を持ち、詳しく調べ始めたんです。
オープンイノベーションとは、自社と外部の技術やアイディアを組み合わせて、新たな商品やサービスを生み出すことです。欧米を中心に広がっており、近年では日本の大企業でも成功事例が報告されています。
そして、オープンイノベーションについて調べ進めるうちにマッチングサービスの存在を知りました。「技術をマッチングする」という考え方はとても新鮮でしたね。オープンイノベーションを実現する上で非常に役立つだろうと感じ、「いつか利用してみたい」という思いが芽生えました。

―その中で、Linkersを選ばれたのはなぜですか?

そもそものきっかけは、商品企画革新グループへの異動です。「商品企画のプロセスや考え方を革新する」というミッションが与えられ、オープンイノベーションの実現を改めて意識するようになりました。そのタイミングで読んだ『ビジネスモデル全史』に御社が掲載されており、Linkersの存在を知ったんです。「これだ」と思って問い合わせたのが、Linkersとの出会いですね。
実際にお話を伺って印象的だったのが、日本の中小企業に特化している点です。実はLinkersを知る前に別のマッチングサービスも検討したのですが、そちらは海外企業や大企業にフォーカスしていました。私は、モノづくりにおいては「フットワークの軽さ」が大事だと考えています。そのためにも国内企業と開発に取り組みたいという思いがあり、Linkersの姿勢に深く共感しました。
それに、私たちも中小企業の技術には光るものがあると常々感じていたんです。実際に展示会やインターネットで情報を集め、共同開発に踏み切ったこともあります。ただ、それがベストマッチングだったかどうかは正直分かりません。業務の合間をぬって企業を探すのにも限界がありましたし、相当な労力がかかっていました。しかしマッチングサービスを利用すれば、時間やコストを大幅に削減できるはずです。Linkersを選んだ理由としては、その2点が大きいですね。

コクヨ株式会社 ステーショナリー事業本部 商品本部 切る・貼る・綴じるVU開発1グループ 小林 彰吾

「チーム」でのモノづくりで、各社の力を最大限に発揮

―技術マッチングによって、どのような課題を解決したいと考えていましたか?

次世代の商品開発をするにあたり、自社の技術ではどうしても実現できない部分があったんです。コストをかければ開発できる可能性もあったんですが、それでは販値が上がってしまい、お客様のニーズに応えられません。結局開発自体がストップしてしまい、担当者もかなり頭を悩ませていました。
私がリンカーズの方とコンタクトを取ったのは、ちょうどそのタイミングだったんです。相談させていただくと「可能性は十分にあります」と心強い言葉が返ってきたので、探索をお願いすることにしました。

―探索開始から現在までの流れをお聞かせください。

まず30社ほどの候補をいただき、5社と面談を行いました。最終的に残った3社は、それぞれ異なるリソースを持ったメーカーさんです。今後は、実際に開発を行う2社とコクヨの「共同開発」という形で進めていくことになっています。各社が得意分野を活かしつつ、力を合わせていくイメージですね。順調に試作が進んでいるので、今後の展開が楽しみです。
ただ、かなりハードルの高い企画ですから、納得できるものが完成するまでは時間がかかると思います。その中で私たちがすべきことは、「品質」を定めることです。例えばAとBを兼ね備えた商品を開発したくても、技術的なハードルから両立が難しいこともあります。その落としどころを考えるのは、発注者であるコクヨの役割ですよね。
あとは、「商品のポジショニング」です。どんなお客様を、どんな用途でお助けできる商品を作るべきか。私たちは「文房具のプロ」として、そこを見極めなくてはいけません。ニーズとシーズを踏まえた上で、お客様に喜んでいただける商品を作り上げていきたいです。

―コクヨ様では、お客様目線のモノづくりを大切にされていらっしゃるのですね。

そこはコクヨがもっとも徹底している部分ですね。技術者や開発者は、自分たちが理想とする価値や技術を追い求めがちです。それも大事なことではありますが、商品の「答え」を知っているのはお客様です。ですから開発サイドがすべきことは、お客様から受けたフィードバックを反映し、商品の価値を高めていくことだと考えています。
ただ、私たちは文房具のことを知りすぎています。既存の技術でできる範囲も分かっているので、「これは作れない」と判断すると開発が止まってしまうんです。しかし、イノベーションはそのラインを越えてこそ生まれるものです。そこを後押ししてくれたのが、Linkersというマッチングサービスでした。

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「共同開発」は、独自技術開発の新たな形

―実際にLinkersをご利用されてみて、もっともメリットを感じたのはどんな部分ですか?

「最短の技術マッチングができること」だと思います。今回、探索をお願いしてから受注者が決定するまでにかかった期間は、企業選定に時間がかかったこともあり約5カ月でした。これまで自社で開発パートナーを探したときは、展示会に通い、5~10社と面談し、何度も試作を重ねた上でようやく「ここなら大丈夫かもしれない」と判断していたんです。そこに費やしていた期間や人工を削減できたことを考えると、料金、サービスの質ともに、非常に満足度が高いですね。他社で企画開発、商品開発に悩んでいる人にも、自信を持ってお勧めしたいです。
それに、マッチングサービスを通して開発が進んだという「実績」は、オープンイノベーションを社内に広める上で追い風になります。正直なところ、日本ではオープンイノベーションに対する理解度はまだまだ低いのが現状です。外部の技術を取り入れるわけですから、「独自技術開発ではない」「開発努力を怠っている」と認識する人も少なくありません。
しかし、外部とタッグを組むことで初めて生まれる独自技術もあります。今回の私たちのように、別の分野に特化した企業がチームになるのは1つの好例ではないでしょうか。それぞれの企業単体では、商品を完成させることはできません。しかし力を合わせることによって、成功の可能性が見えてきているんです。
今はまだ試作の段階ですが、実際に商品化されれば、社内にオープンイノベーションの素晴らしさを伝えることができると思います。開発に新たな風を吹き込むのは、私たち現場の人間の役割です。ボトムアップでオープンイノベーションを広められるよう、Linkersがもたらしてくれた成果を活かしていきたいと考えています。

―今後もLinkersをリピートしたいですか?

もちろんです。コクヨの中長期的な成長のためには、今から次世代の「種」を蒔いておく必要があります。既存の技術力を高めることも大事ですが、すべての商品企画に今ある技術が適用できるとは限りません。それこそ、イノベーションを起こすような未知の商品も出てくるでしょう。共同開発によって商品化を実現できるのであれば、積極的にチャレンジする価値はあるはずです。そのときにはぜひ、Linkersのお力を借りたいですね。

―最後になりますが、今回のマッチングにおいてLinkersはどんな役割を果たしたでしょうか。

安直ではありますが、まさに「パイプ役」ですね。実は、今回共同開発する2社は、どちらも広島県にあるんです。先日顔合わせをしたときにも「近所の会社じゃないですか」「チーム広島ですね」とすっかり意気投合していました(笑)本来であれば出会うこともなかったかもしれない企業や人が、Linkersによってつながっているのは素晴らしいことです。これからも、技術を通して全国の企業をつないでいってほしいですね。

―ありがとうございました。

コクヨ株式会社 ステーショナリー事業本部 商品本部 切る・貼る・綴じるVU開発1グループ 小林 彰吾

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