2016年に発表した「未来窓プロジェクト」コンセプトモデル第1弾は、「空気」「光」「映し」の3つの機能を持った窓「M.W. (ムー)」です。「窓は一度取り付けたら何十年も変えられない物」という概念を打ち破り、ライフスタイルや気分の変化に合わせて、さまざまな機能を自由に組み合わせられる窓を提案しました。
2017年に発表した「Window with Intelligence(ウィンドウ ウィズ インテリジェンス)」は、窓をスマートフォンやタブレット感覚で利用できるようにしたものです。2018年発表の未来ドア「UPDATE GATE(アップデイトゲート)」は、玄関ドアとAIを融合させることで家族一人一人に合った情報を玄関ドアが映し出すシステム。スマートフォンとの連携により、高齢者やペットの見守り、介護サービスや宅配業者とのやり取りなど、社会課題の解決にも貢献できるドアと自負しています。これからの商品開発は、こうした社会課題の解決につながることが非常に重要だと考えています。
実は最初は社内のメンバーだけで始めたのですが、どうにも前に進まず、半年で解散しました。その時、「社内でプロジェクトを組んでも、“とんでもないアイディア”は出てこない」ということを学んだのです。
そこで、外部の会社にプレゼンを繰り返し、自力でパートナー企業を探しました。その時に出会ったPARTYさんの豊かな発想力のおかげで第一弾のコンセプトモデルは予想以上の注目を集めることができました。最初はプロジェクトの意義がなかなか理解してもらえず、社内の反応も冷ややかだったのですが、社外からの反応が大きくなってからは社内でもやりやすくなりましたね。うちの会社を受けにくる学生の2人に1人は、未来窓の話をします。人手不足が大きな問題となっていますが、リクルーティングの面でも大きな成果をあげられていると思います。
第一弾は話題を集めることが最大の目的でしたのでアイディア重視でしたが、2年目からは、具体的な商品化も視野に入れています。現実的な事業展開のためには企画して発信するだけでなく、いっしょに物づくりのステップが踏めるパートナーが必要だったのです。
Will Smartさんはゼンリンデータコムの社内ベンチャーとしてスタートした会社で、デジタルサイネージ事業とIoT共創事業を2本の柱としています。窓もドアも外に接している物なので、サイネージの技術が活かせると考えたことも大きな理由ですが、やはり最大の理由は「人」ですね。
マッチングは基礎ベースではさまざまな条件をつけますが、だからといってそれで事務的に処理して成立するものではない。最後は冒険心を共有できるかどうかです。会って話をし、意見を戦わせた時、社内のリーダーである石井(康弘)社長がキラキラしていた。「いっしょに課題を突破しよう」という熱や冒険心を感じたのが、大きかったですね。マッチングに関しては、こちらも大きな賭けをしているわけです。社内のメンバーを引っ張っている中心人物がキラキラしているか、挑戦する気持ちがあるか、最後までいっしょに戦ってくれるか、それが大事だと思います。
実際にスタートしてみたら、こちらの期待以上に国際的な資材の調達力も高かったし、のるかそるかというぎりぎりの時の大胆な決断力もあって、驚かされることが多々ありました。Will Smartさんと組まなければ、「UPDATE GATE」の開発は成功できなかったでしょうね。おかげさまで2019年度に発表する第四弾は、さらに面白いものになりそうです。
まず、どんなに時間が無くても、必ず会ってみること。そして会ったら、会社を見るのではなく、人を見ることです。冒険心を共有できる会社とタッグを組むことができれば、そこから次々に面白い会社とつながっていけます。私もWill Smartさんを知ったおかげで今、去年の今頃には予想もつかなかったほど、面白い会社や人とのつながりが増えています。正直、もうリンカーズさんに頼らなくても、(必要な企業や人を)集められる状態になっているほど。もはやリンカーズ卒業生といえるかもしれませんね(笑)。
そう考えると、リンカーズのマッングは、面白い人や企業とつながるための、エンジンをかけるきっかけに過ぎないのかもしれません。ただし面白い企業や人とつながりたいと思うなら、まず自分自身が面白いリソースを持っていなければいけない、というのが大前提だと思います。
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